訪中邦人向けの福建省福州市生活情報親戚

親戚

　　　中国は、一族と言うよりも血族と呼んだ方がふさわしく、結束が強いというイメージがありましたが、
　　実際の親戚付合いをしてみるとなんだか「都合」というキーワードが見え隠れしてなりません。

親兄弟

現在では、まだ兄弟が多い世代の人達が中心に構成されている為、「長男絶対」の構図になっているようです。
ご飯のおかずから遺産に至るまで他の兄弟姉妹より優遇され、商売の資金、家の改装、車・テレビの購入と長男が何かをする度、
何歳になっても親兄弟から援助？補助？の形でお金が集まって来きます。
このあたりは、共産圏の考え方で「お金はある人が出して平等を保つ」とも思えますが、長男以外には適応されていない様子。
最近こんな事がありました。結婚式で受付を行う時には名前の記帳と一緒にご祝儀の金額が台帳に書かれ、公開されます。
身内のご祝儀相場が数千元ですので、面子を重んじる中国人の兄弟達は同額か立場によってはそれ以上を出す事になり、
それとは別に各テーブルを廻って挨拶する時には指輪と更にご祝儀を振舞うのが福州の習慣らしいのです。
先日一番収入が少ない末の叔母さんの娘が結婚した時の事、豪華な家に住み現役の医者である一番裕福な叔母さん一家は
さぞ振舞うのだろうと思われていたのですが、台帳の前から叔父さんは逃げ出し、娘に出させた他の兄弟の1/10の金額で二度と
財布が開く事はありませんでした。実は、この娘も近々結婚を控えていますので、その時にいくらご祝儀が集まるのかが私の
密かな楽しみになっています。他にも色々なエピソードは有りますが、やはり長男以外は搾取対象と言う事なのでしょうか。

従兄弟

中国では一人っ子政策の影響により例外を除いて兄弟姉妹がいないので、歳の近い従兄弟が兄弟の様な間系になっています。
しかし、いくら従兄弟と言っても生活レベルにより取捨選択が行われているようで、小さい頃は良く一緒に遊んでいたとしても
社会人となると、力やお金の無い者は従兄弟だけの集まりに声も掛けてもらえないシビアな現実があります。
日本でも同じなのでしょうが、私が日本で感じていた親類関係よりも、メリットの有る無しがよりあからさまに感じられたので
取り上げてみました。

田舎出身の男

「田舎出身の男と結婚すると生涯苦労する」、これは社会背景の問題としてテレビドラマになっているほど有名な話です。
先ず、田舎の男は床の間に飾られるほど大切に育てられるので、シャツのボタンも掛けられないほどわがままに育ちます。
しかし、これは本人の性格と都会での暮らしで改善される事も有るようですが、問題は親です。田舎は閉ざされた空間なので
何新等なのか分からなくても近所とは少なからず親類関係にあります。そんな状況の中で、息子が都会に住んでいると言うのは
最高の自慢なので、「都会に出て働きたい」「都会の病院で治療を受けたい」などの理由で頼ってくる人々を自分の面子で勝手に
快諾してしまいます。後日親から息子の所に「今度、ひい婆さんの兄弟の孫娘の旦那の妹達がそっちに行くからよろしく頼む」と
言うような連絡があり、「誰だよそいつらは」と思いながらも全て受け入れ、宿泊中の住居、食事、こづかいからお土産代まで全て
負担します。それがほとんど毎月交代で、多い時には数十人尋ねてくる事もあるようです。
これらには賃金格差の問題が大きく関係していて、田舎では一家で働いても年収が都会の月収程度にしかならず、そんな中で
都会の大学を出してもらった息子は親に逆らえないと言うのがドラマの筋書きでした。現に叔母も２ＬＤＫの家に雑魚寝状態の
親戚達にはかなり手を焼いています。

　ここに紹介した内容は、私が体験した実例です。他にも様々なタイプがあるのかもしれません。